前提

このレポートは私個人の例であり、一般的には全く参考にならないと思いますが、メモとして残しておこうと思って書き下したものです。
まず、私自身の事に触れておきます。

1アマ取得のきっかけ

S58に電話級を取得したときのきっかけと似ています。電話級を取ったのはアマチュア無線に興味があったからではなく、電子工作(電子回路技術)に興味があって、ハムの資格でも取ってみようかと思ったのがそもそもの始まりでした。電話級は晴海で行った国家試験で取りました。勉強は完マル(完全丸暗記 初級アマチュア無線問題集)のみです。勉強期間はおよそ1週間でした。

途中QRTを繰り返しながらも細々と続けたアマチュア無線。気がつけば年齢も40歳目前になりました。頭の固くならないうちに上級資格を取りたいと思って過去問を取り寄せて工学だけ解いてみました。結果は4割くらいは無勉強でOK。これならなんとかなるかもと思っていた矢先に、そのころ仲良くしていたUSoZoさんがいつの間にか1アマを取得しているのを知って1アマ取得を決意しました。

受験宣言

普通は試験に合格してから「受かったよ」と言うものですが、意思の弱い自分はモチベーション維持を続けるために、2006年の春にBlogにて宣言。これで後に引けなくなりました。
試験は土日に行われていて、それぞれ2アマと1アマです。1つの週末でに2種受けることが出来るので、両方受けてみようかとか、2アマから受けてコンプリートしようかと考えていました。
当初は1アマを3年計画で絶対に取るぞとは思っていましたが、野望として「30代のうちに1アマ」という敷居の高い目標を心の内に秘めていました。誕生日は8/25なので、2007/8/19の試験に受かれば野望達成です。30代のうちにというと、2007年の4月期と8月期の2回しかありません。

まずは3アマ

上級試験にはモールスの受信試験(電気通信術)があります。試験内容は緩和されて以前の電信級と同じ25字/分というスローなモールスですが、こればかりは体で覚えないと身につきません。どうせ覚えるならモールスも使いたいし。
2006年夏に3級をハムフェアー併設臨時試験で取得。勉強はCQ出版の3級アマチュア無線問題集。それと、Webサイトの模擬試験を通勤電車の中でやりました。
このころCWへの興味があったので、モールスは最初から音響受信による暗記をしました。CWでの運用を少しでも考えているのでしたら、2度手間になるので最初からこの音響訓練を強くお勧めします。使ったのはCQ出版の「モールス入門編CD」。モールスの暗記は往復の通勤時間(片道90分)のみを使い、3日で「A〜Zと数字」を覚えました。3日で覚えられるとは自分でも思っていませんでした。このときは頭の調子がとても良かったようです。

モールスデビュー

通勤で「モールス受験編CD」を聞いたり、HFでQSOを聞いていましたが、普通のQSOは早すぎて全く聞き取れないうえに、殆どが599BKのショートQSOで練習にはなりませんでした。25字/分の平文が大体聞き取れるようになってきて、A1Clubに入会。それでも怖くてなかなかデビューできずに月日は過ぎていきました。送信はできても受信が出来ないのです。
2007年1月、MixiでA1Clubに誘ってくれたチューベーさんに後押しされ、年明け1回目のA1Club OAMに参加。UR 599 BKのみのQSOですが、A1Clubのみなさんのおかげでモールスデビューを果たしました。ここからはCW三昧の毎日に。運用可能時間帯の関係もあり、SSBは殆どやらなくなりました。夜中でも出来る、貧弱な設備でも出来るというのが、CWの最大の利点だと感じました。

2007年4月期

7MHz CWでちょこちょことQRVするようになり、だんだんと耳も慣れてきました。とはいえ怖くてCQは滅多に出せませんけど。
モールスの試験はこのように実践で体で覚えることし、4月に向けて勉強(法規と工学)を開始。使用した教材は「上級ハムになる本」です。通勤時間を使って工学と法規を流し読みしていました。しかし、通勤時間だけでは工学の計算問題はどうにもならず、仕事と家庭が忙しいこともあって4月期の受験は断念しました。公式は見ているだけでは覚えられません。

2007年8月期

受験勉強

4月を過ぎても(雑誌の記事執筆とかもやっていたので)忙しさは変わらず、時間が取れると教本を読んでいるだけの毎日。6月になってさすがに危機感を感じてやっと勉強を開始しました。基本は「上級ハムになる本」です。他に1アマの過去問集も買ってありましたが、こちらは殆ど開かなかったです。過去問は出題傾向を感じ取るのに使っただけです。
通勤電車では無線工学の理論的な部分を理解し、法規は丸暗記すべく何度も読みました。何度もとは言っても3順はできなかったと思います。
特に工学は「理解できないと覚えられない&気がすまない」性格から丸暗記はできず、時間を掛けて頭を回していました。逆に、納得できたものは今後もずっと忘れないでしょう。
計算が絡む無線工学は、机上で手を動かして実際に計算をしないと覚えられません。電卓も使わないようにします。近似値を使って開平するとか、計算を楽にこなすテクニックが必要だからです。気がつけば受験1週間前のお盆休みに突入。妻と娘には先に実家の方に行ってもらい、ラストスパートをかけました。とはいえ前半は出勤していたので、試験前3日で計算問題を解きまくったという感じでした。
無線工学は測定のパートと電子回路のパートはスキップ。ここは実務経験でカバーできるだろうと踏んでさらりと目を通しただけです。一応、鬼門といわれているキルヒホッフの法則、ブリッジ回路、トランジスタ回路、測定関係は頭に染み付いていたようです。電波伝搬関係が一番辛かったところです。
最新の過去問は日無のサイトにありますが、過去問はこちらのサイトに纏められています。

受験

前日は睡眠時間を十分に取るため早めに就寝。CWのOAMにてローカル局に「GL GL GL」と激励を受けて寝ました。が、素直に眠れるはずも無く、ベッドの上では目を瞑ると公式や図が出てくる始末です。なんか、仕事でいっぱいいっぱいになっているときと同じ状況。
予定通り起床してゆくりとと朝食をとって、いつもの通勤スタイルで日無へ向いました。
試験会場では参考書や問題集を開く受験生が3部屋分。そのうち1号室だけが電気通信術も受験する人達でした。つまり、2/3が電気通信術が免除の受験生です。旧3アマ持ち、2アマ持ち、そして科目合格の人たち。思いのほか通信術免除の人が多かったのが印象的でした。
私はどたんばにきて参考書や問題集を見ても頭に入らないばかりか、かえって不安になるので、現地ではほとんどおさらいはせず本番へ突入。

法規

法規の試験は退出可能時間までには終り、わからない問題は勘でマークをして、2回ほどマークミスが無いかを確認して終了。法規は完全に暗記で決まります。不安を残しながらも退出。

電気通信術

音は割りと聞きやすかったのですが、言われていたとおり周りの鉛筆のカツカツ音がかなり気になりました。が、始まってしまうとすぐに耳フィルターがONになり、符号に集中できました。
ところが、受験時には既にCW QSOは60字〜80字でやる(ラバスタレベルですが)ようになっていたため、25字という速度は逆に苦しかったです。淡々と送られてくるQRSな符号は、字間や単語間の間合いを取りにくく、息をする余裕も無い感じでした。
しかも1つだけ頭が真っ白になった符号があり、案の定引っかかりました。遅れ受信でカバーしましたが、そのために2つの単語がくっついて、しかも変なところで分離してしまいました(RADIO BEACON → RADIOBE ACON)。ARが来て5秒の見直し時間に目の前に浮かんだ英文。ここまでは何が送られてきたのかは全く判りませんでした。良く使う単語(NAMEとか)は音を聞いて単語にダイレクト変換できるのですが、25字は単語にはならない速度です。とりあえず自分の覚えているスペルが正しければ誤字はゼロで、単語間スペースが1箇所変になっているという結果でした。アマチュアの試験は品位減点は無いと聞いていたので、まあ大丈夫だろうという感じでした。
あっという間の2分間、ものすごく緊張しました。ARが来た瞬間、ふぅーと息を吐いたのを覚えています。

工学

さらりと解ける問題と、いくら考えても判らない問題に2分されました。わからない問題は公式が思い出せなくて解けないので、法規と違って文章の流れから正誤を判断することは不可能。つまり、いくら考えても無理。これは勘だけでマークをしました。鉛筆ころがしと同じです。また、1問だけ計算が面倒なのがありましたが、これは時間をたっぷり使って最後に解きました。それでも計算ミスしていたのを後で知ってへこんでる始末。

自己採点の結果

その日の午後には速報サイトに回答例が載っていたようでしたが、移動中の電車の中で参考書と照合したところ、法規はマージン1問(1問落としても合格)、工学はマージン2問(2問落としても合格)という結果。ギリギリですが、モールスが何とかなっていれば大丈夫と合格を確信しました。でも、通知が来るまではハラハラ状態が続いたのは言うまでもありません。
日無のサイトに問題と回答が載るのは、およそ1週間以内です。

9月8日(土) 合格通知受領

恐る恐るはがきを開くと、左側には「合格」の二文字。右側には「合格おめでとうございます」の1文が目の前に。
まさかの1発合格。自信はあったとはいえ、憧れの1アマに1発合格するとは自分に驚きました。

9月27日(木) 従免受領

申請書は週明け9月10日(月)に投函。日無宛です。
総通への直接申請の場合は少しだけ手数料が安く済むらしいのですが、日無を通したほうが免許証が手元に来るのは2〜3日早いみたいです。1エリアの場合ですが。
※免許申請書の様式が来年から変わるそうです。12月期の試験までは使えますが、2008年度の試験からは今までの申請書は使えないそうです。

最後に

現在、10MHzと14MHzを追加するための変更申請書を仕上げています。これは週明けの月曜にTSS宛に出す予定です。(付属装置、付加装置、自作機追加があるため、TSS経由になります)
→自作機の検討中で申請は遅れています。(2007/10)

1アマ丸暗記攻略本として有名な「楽しく覚える1アマ攻略(通称ガルスカ本)」ですが、現在の試験には殆ど通用しないと思います。お願いして譲り受けたのですが、これで回答できるのはごく一部で、役に立つのは法規の語呂合わせ位でした。出題される問題の数字も結構変わっています。また、私のように理解できないと覚えられない系統の人には全く合いません。

ここのところデジタルの問題が必ず出ています。D-STARです。難しい内容ではないので、これは確実に取りましう。サービス問題です。

年々出題内容が難しくなっている感じです。2総通の過去問から易しい問題が降りてきている傾向を感じています(つまり新問)。FCCがノーコード(CW試験の廃止)になったため、もしかしたら日本もそのうちノーコードになるかもしれません。そうなると試験の内容は一気に難しくなるでしょう。1アマを目指している人は、チャンスがある限り早めにチャレンジしたほうが良い気がします。

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Last-modified: 2023-11-27 (月) 23:39:34