CW運用で相手の周波数にぴったりあわせることを「ゼロインする」といいます。
最近のRIGにはゼロインを示すインジケーターランプや、ズレ具合を示すバーグラフが付いていますが、ICOMの
IC-910/911にはその機能がありません。その上、ゼロビート法を使うためのサイドトーンの連続モニター出力や、
側波(USB/LSB)を逆にするCW-Rもありません。
そこで、トーン検出ICのNJM567(NE567)を使用してゼロインインジケータを作ります。
トーンデコーダIC「567」をそのまま使用しています。入力はACC端子からは十分な信号レベルが得られたので
プリアンプは乗せていません。Sメーターが振らない局でも反応します。
567には通常のバイポーラ方とCMOS型があります。LMC567はCMOSなので、計算式と定数が違います。ここでは通常の
バイポーラを採用しています。
Fc=1/(1.07*C1*R1) [Hz]
C1とR1は温度ドリフトが中心周波数に影響を与えますから、温度偏差の小さなものを使う必要があります。よって、
C1はフィルムタイプのコンデンサを採用します。セラコンやケミコンは使えません。
C1=0.15μ、R=6.8K、VR=10K (R1=R+VR) VR(min) : 1/(1.07*0.15E-6*6.8E3) = 916Hz VR(cen) : 1/(1.07*0.15E-6*11.8E3) = 562Hz VR(man) : 1/(1.07*0.15E-6*16.8E3) = 370Hz
Bw=1070*√(Vin/Fc*C2) [%]
式を見て判るとおり、入力信号のレベルに依存します。レベルが大きいとバンド幅は広くなります。通常はデータ
シートのグラフから適当な値を選択します。
製作した例では、実測で「Fc=600Hz」にて「Bw=±30Hz」程度になりました。昔のPLL RIGの最小ステップ「100Hz」の
帯域中に十分入るので実用的といえます。強い信号を受信しているときは、もう少し広くなります。それでも±50Hz
には入っています。