シールドバッテリーには、基本的に2つのタイプが存在します。
一つはサイクルユース用、もう一つはスタンバイユース用です。
一般的なバッテリー(ニッカドやニッケル水素)と同じように、「充電して使う」を繰り返す使用方法。
電源の無い場所での移動運用での一般的な使い方です。
サイクルユース仕様でも、100%放電(つまり空っぽまで使う)を保証していない製品も沢山あります。この場合は放電終止電圧を守り、
すっからかんにしないように注意が必要です。
特にディープサイクルバッテリーと呼ばれている製品は、0〜100%という深い充放電の繰り返しに強い構造となっているバッテリーです。
バックアップ電源や非常用電源としての使い方が主で、常に自己放電分を補充電しながら必要なときに放電させる使い方。
注意しなくてはならないのは、スタンバイユース専用のバッテリーは、自然放電も含めて完全放電させてはならない事です。
完全放電させると壊れてしまいます。
環境温度範囲は、0℃〜40℃です。
基本は電流制限付きの定電圧充電です。
サイクルユースとスタンバイユースでは充電方法が違います。
セルあたりの電圧 | 6セル時の電圧 | 電流制限 | 充電時間 | ||
100%放電 | 50%放電 | ||||
サイクルユース | 2.40〜2.45V | 14.4〜14.7V | 0.25CA(容量×0.25) | 10H | 8H |
スタンバイユース | 2.25〜2.30V | 13.5〜13.8V | 0.25CA(容量×0.25) | 24H | 22H |
サイクルユースは充電完了後に、電圧検出やタイマーを使って充電を止める必要があります。
対してスタンバイユースはそのまま充電しつづけて構いません。常に満充電を維持します。
車に積みっぱなしにしない場合は、移動シーズンになったらスタンバイユースとして充電しっぱなしにしておくのが良いでしょう。
いつでもすぐに持ち出せる状態です。
手持ちの安定化電源を使った方法です。
ここで使う記号は、Cです。Cはバッテリーの容量を示していいます。計算時はバッテリー容量に置き換えます。
安定化電源の出力電圧を14.55Vにします。気温が高いときは14.4V、低いときは14.7Vにすると効率が良いです。
安定化電源とバッテリーの間に抵抗を入れます。抵抗の値は次の式で計算します。
R=(14.55-10.50)/0.25C
W=(14.55-10.5)*0.25C
例えば7.2AHのバッテリーでしたら、R=2.2Ωになります。容量はW=7.3Wですから10W以上の抵抗を使います。
この充電方法は空っぽから満充電にするまで10時間です。残容量に応じた時間で充電するか、電池電圧と充電電流を監視して止めなくてはなりません。止めないと破裂します。
きちんとした充電管理ができる人以外には勧められませんので、専用充電器を購入する事を強く勧めます。
安定化電源の出力電圧を13.65Vにします。
安定化電源とバッテリーの間に抵抗を入れます。抵抗の値は次の式で計算します。
R=(13.65-10.50)/0.25C
W=(13.65-10.5)*0.25C
例えば7.2AHのバッテリーでしたら、R=1.8Ωになります。容量はW=5.7Wですから10W以上の抵抗を使います。
この充電方法は空っぽから満充電にするまで24時間です。ただし、このままずっと充電状態で放置しておいても大丈夫な安心安全な充電方法です。
残容量を気にする必要がないので、丸1日充電したら完了という使い方で良いです。
週に1回しか使わないようなら、この充電方法をお勧めします。
無線機用の安定化電源は出力が13.8Vや13.6Vとなっている物が多いですが、調整はけっこうラフで信用できません。
かならずデジタルテスターで確認して、微調整ができる安定化電源を使ってください。
私は実験室用のCVCC電源を使用しています。
環境温度範囲は、-20℃〜50℃です。
そのときの消費電流により電圧を決定します。
無線機の場合は、受信時に10.5VになったらやめればOKです。
放電電流 | 終止電圧 | |
セルあたりの電圧 | 6セル時の電圧 | |
0.2CA未満 | 1.75V | 10.5V |
0.2〜0.5CA未満 | 1.70V | 10.2V |
0.5〜1.0CA未満 | 1.55V | 9.3V |
1.0CA以上 | 1.30V | 7.8V |
残容量 | 端子電圧(6セル) |
100% | 12.6V |
75% | 12.4V |
50% | 12.2V |
25% | 12.0V |
車載でサブバッテリーを積むときは、走行中に充電できると便利です。
しかし、そのまま並列に繋いでしまうと、メインバッテリーの充電が優先されなかったり、サブバッテリーからメイン側へ逆流して消費してしまいます。
通常はバッテリーアイソレーターという大容量ダイオードを使って、車のオルタネーターの発電電流を二つのバッテリーに分配します。
しかし、配線が大変なので、最近は簡易型のアイソレーターを使う場合が多いです。
サブバッテリーチャージャーとも呼ばれています。