* 概要 [#gd8c749e]
3.5MHz帯バーチカルアンテナ「マイクロバート」を製作する。~
このアンテナはエレメント部が持つ静電容量と、そのCを打ち消すためのコイル~
(すなわち同じリアクタンス)で構成される。~
また、ラジアルは給電用同軸ケーブルの外皮を使用する。アンテナ本体には芯線しか~
接続しない。最適なラジアル長の末端にはRFチョーク(コモンモードチョーク)を挿入し、~
そこから先の給電線は任意長となる。~
調整は2本のアルミパイプを継いで、全体の長さを伸縮させて行う。~
寸法は設計支援シートで計算し、推奨値で製作する事にする。~

* 設計ツール、資料 [#ifd5f825]
[[設計支援シート(Excel):http://hamradio.cocolog-nifty.com/room/files/MV_Design.xls]]~
↑外部リンクです。

[[DL7PEの設計レポート(PDF):http://www.bwt.jp/~sawada/tmp/microvert.pdf]]~

[[DL7PE Micro Vert Antenna の動作解析について:http://www7a.biglobe.ne.jp/~ja6gan/antenna_lab.htm]]

* 設計値と組立 [#n147403e]

** エレメント [#zc77ec87]
- 固定エレメント:2m 25Φ~
先端を30mm程切り込む。切り込みは弓ノコで4本入れると咥え込めるようになる。
- 可動エレメント:0.67m 22Φ~
全長1mで、スライドさせて調整する~
- 咥え込みはホースバンド(サイズ10番)で締め付ける。

&ref(element_junction.jpg);

** コイル [#r77031f6]
- コイルボビン:38Φ塩ビパイプ(VP30=内径30mm、外径38mm)
- コイル線材:1Φポリウレタン電線
- コイルインダクタンス:61.3μH(計算値)
- コイル巻数:%%64回%% →63回(ほぼ密巻き)~
多めに巻いておいて、Lメータで合わせこみます。ピッチでも変化します。~
- 耐電力は1φ銅線でおおむね150W程度が目安とか。~

&ref(coil.jpg);

** ラジアル [#h3ee0b2a]
- ラジアル長:16.5m 5D2V

**コイル部とエレメントの固定 [#d681570c]
- コイル用パイプにVP25を使うとキチキチで入らないと思う。よって、VP30を採用。~
塩ビパイプにはエレメント固定用の貫通穴を開けるが、片方は4mmネジ用に4.5Φを開け、~
反対側はネジの頭とドライバーが通る様に8Φ程度まで広げる。~
- 3本止めしたうちの一番下のネジは導電グリスを塗布しておく。ここにコイルが繋がる。~
- リベット止めの方が確実だが、VP30は厚みが結構あるのでリベット止めは厳しいかもしれない。~

** 加工、製作 [#je72a211]
- コイル防水~
コイル部にはエポキシ塗付してから、1.5Lペットボトルでカバーをかける予定。~
やらずにとりあえず設置。雨の日の変化を確認する。

** RFチョーク [#r0d8fb6c]
今回、かなりいろいろと検討している部分。~
まず、RFCのインピーダンスZは10KΩ以上を目標にする。(インダクタンス値で455μH)~

実はいろいろなサイトを見ると、周波数に関係なく12回巻きという例が多い。~
FT240-43に12回ではL=178.5μHになり、1.9MHzではZ=2.1KΩ、3.5MHzではZ=3.9KΩ、~
7MHzではZ=7.9KΩになる。~
詳細に情報を調べてみると、2つの数字が見つかった。それは、給電線インピーダンス~
100倍すなわち「5kΩ以上を目標」というのと、「10KΩ以上を目標」の2つ。~
いずれにしても今回製作する3.5MHz用には12Tでは、数字の小さいほうの5kΩすら達成~
できない。3.5MHzで5KΩを得るにはL=227μHとなる事から、巻き数に換算すると14Tに~
なる。つまり、12Tは7MHz用の例ではないかと予想できる。~

RFチョークの近く(エレメントに向かう側)の同軸は、できるだけ直線に配置したほうが良いらしい。~
コネクタを下に向けたかったので今は折り返してあるが、それが災いしているのかも。~

トロイダルコイルの計算はこちらが便利。~
http://jr6bij.hiyoko3.com/coil/calcform001.html

***失敗した例(耐電力不足) [#k40d14a4]
&ref(MV_RFC144-77.jpg);~
-FT-144-#77には18回しか巻けなかった。~
-100均で買った食品タッパにM-Jを付けて組み込んだ。耐候性が心配。~

計算値369.36μH、実測355μH(3R5ではZ=7.8KΩ)。少なめで心配だったが、動作的にはOKだった。~
&color(#F00){50W長時間キーダウンでSWR上昇。30W程度までしか使えません。200WにはFT240は必須。};~
このように耐電力の面では失敗だったが、特性としてはFBな結果だと思う。30Wであればこのタイプでいけるのでお勧め。~
50W求めるのであれば、FT-140-77を使えば、この特性を再現するはず。~
43材はどこでも買えるが、77材は扱っていないところが多いかもしれない。

***FT240-43で作り直す [#q3642214]
200Wの耐電力を得るには、少なくともFT240を2個使わないと足りないと思われる。~
2個直列にする方法と、2個重ねる方法がある。重ねた方が磁気飽和の点で有利。

-FT240-43で10KΩ得るには、455μHで巻き数は20回。~
→RG58Uでは巻ききれない(14Tが限界)~
→2個に分ける(14Tづつの直列、243μH×2=486μH=10.7KΩ)
-FT-240-43を2段重ねてRG58Uを巻けるだけ(14T)巻く~
→243μH(Z=5.3KΩ)

どちらも同じ巻き数なので、リングに流れる磁束は同じ。~
つまり、磁気飽和を考慮するとどうせ2個使うなら2段にしたほうが耐電力としては有利。

-コアはヤフオクで頒布しているものを入手した。2個で2500円+送料400円。~
4個買ったので、@1350円。まあまあな値段でした。海外通販を使うともっと安いらしいけど。

&ref(RFC-FT240-43.jpg);~
直列で10KΩ狙い →結局使わなかった。なんとなく。~
計算値:1個で243.04μH×2=486.08μH(10.75KΩ)

&ref(RFC-FT240-43-2.jpg);~
2段重ねで5KΩ狙い →とりあえず問題なかったが、Zを大きくしたくなった。~
計算値:243.04μH(5.38KΩ)

&ref(RFC-FT240-43-3.jpg);~
結局、テフロン同軸を使って20ターンで作り直した →SWR特性に不満が残る。~
計算値:496μH(11.00KΩ)~
※写真は後で追加します。

* 設置例 [#ne664933]
&ref(MV_Constract.jpg);
ステンレス伸縮物干し竿(4mで498円)

* VSWR特性 [#t3a5b604]
** 実験中 [#e91ad749]
&ref(MV_VSWR2.gif);~
Asutek VA-1で測定。(RFCにFT114-77で18Tのを使用時、設置直後)
** 現在の設置状態 [#x069bfbf]
天候晴れ。エレメントを多少伸ばした。~
RFCはFT-240-43の2段重ねに、テフロン同軸を20Tしたものを使用。~
ラジアル同軸はなるべく屋根上に展開するようにした。実験中は壁面に結構垂れ下がって
U字型になっていた。~
全体的にSWRが高くなってしまった。Zが合わないのは、ラジアル同軸の引き回しの関係と思われる。
*** VA-1で測定 [#yf6bf836]
&ref(MV_VSWR_Xs.gif);~
*** FT-2000Dの内蔵SWRメーターで測定 [#z5ef0d7b]
&ref(MV_VSWR_ByFT2000.gif);~
出力は100W。SWRはおおむね2以下に入っている。FT2K内蔵ATUを併用することでOKとした。~
ただし、SWRが下がりきっていないのは気になるので、今後RFCをいじって最良の構成を探す予定。

*** RFC近傍の同軸引き回しを変更 [#t30c8409]
&ref(MV_VSWR_3.gif);~
RFCに近い部分の同軸(特にラジアル側)をまっすぐに伸ばして測定しなおした。~
FT2000のSWRメーターでは良好な特性。VA-1では高めに出ている。

**部品リスト [#fdf87f55]
-エレメント
--アルミパイプ 25φ 2m 1本
--アルミパイプ 22φ 1m 1本
--ホースバンド No.10 1個
-コイル
--塩ビパイプ VP30 50cm
--UEW銅線 1φ 8m
-エレメント&コイル組み立て
--ステンレスビス 4mm×40mm 4本
--ステンレスワッシャ 4mm 6個
--ステンレスナット 4mm 7個
-ラジアル&マッチング
--同軸ケーブル 5D2V 16.5m
-RFチョーク
--同軸ケーブル RG58U 3m(?)
--トロイダルリング FT240-43 2個
--MJ丸座 2個
--食品タッパ(RFCのケース) 1個
-その他
--丸型圧着端子 R2-4 3個
--導電グリス
--自己融着テープ
--ビニールテープ
--エポキシ接着剤
--2Lペットボトル
--Uボルト、V座、ナット、ワッシャ(マストに取り付けるため)

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